ナノスペースカーボンの科学と工学、極限環境の電気化学

名古屋工業大学 川崎・石井研究室

「最近の研究から」のバックナンバー

逆格子点とはいったい何者なのか

逆格子はいろいろなところで登場します。とても便利ではありますが、あらためて逆格子とはいったいなんなのか、とりわけ結晶の逆格子点とはいったい何者なのかについて....続きを読む (2024.Jan.)

秋の学会は網野さんのポスター賞で有終の美

今年の秋の学会は、ヨウ素学会、高圧討論会、中化連、炭素材料学会と続きました。....続きを読む (2023.Dec.)

約20年ぶりのSPring8でヨウ素のK端EXAFSを見た

2/13にSpring8の BL-14B2(図1)でXAFS実験をさせていただきました。昨年の炭素材料学会年会で....続きを読む (2023.Feb.)

新刊のお知らせ「分光実験のヒント」

夏休みの宿題として前期のゼミで研究室の学生向けに行っていた「分光実験のときに試料の中で何が起こっているのかを電子レベルのイメージをつかむ」お話を文書にしました。....続きを読む (2022.Nov.)

Ayarさん、3年半ありがとうございました。

Ayar Al-zubaidiさんは2010年にイラクからの国費留学生として渡日し、2014年3月に私の研究室で学位を取得しました。彼女との最初の....続きを読む (2022.Aug.)

Ayarさん「女性が拓く工学の未来賞」受賞

Ayarさん(ポスドク、Ayar Al-zubaidi)が学内の女性研究者の賞である「女性が拓く工学の未来賞」を受賞しました。....続きを読む (2021.Oct.)

河合塾みらいぶっく、まいなびニュースなど

河合塾が作成している『高校生の知的好奇心に火をつけるための、新たな学問による情報サイト....続きを読む (2021.July)

【実験動画第2弾】高圧実験入門~タマゴを加圧してみよう~

研究室Webの見出しに書いているように、我々の研究室では、ナノカーボンだけでなく「極限環境の電気化学」....続きを読む (2020.Nov.)

教科書って、本当に正しい?

コロナ騒動で大学の授業は後期もオンラインになり、我々教員は動画作成などの準備に追われています。 せっかく画で配信するのだから....続きを読む (2020.August)

受賞3件(M1渡邉、石井、川崎)

コロナ騒動で更新間隔が大きくあいてしまいました。昨年度....続きを読む (2020.Jun)

ナノカーボンの本が出版されました。

予告していた本が8/23に科学情報出版から「新炭素材料ナノカーボンの基礎と応用」というタイトルで出版されました。....続きを読む (2019.Aug.)

ナノチューブの本の執筆と電池の本の監修

科学情報出版の「設計技術シリーズ」でカーボンナノチューブの本を書きませんかと昨年の秋にお誘いを受けました。これまでたくさんの....続きを読む (2019.May.)

ニーハ来日と長谷川君帰国

ポーランドのInstitute of Physical Chemistry, Polish Academy of Sciences というところからニーハ(Neha Rangam)が来日しました。....続きを読む (2018.Nov.)

ハナ先生来訪と近藤君帰国

マレーシアのペトロナス工科大学の Noorhana Yahya 教授が研究室を訪問されました。....続きを読む (2018.Jul.)

ISPlasma2018:李君・松下君が発表、Wang先生との交流

3月4日~8日に名城大学で開催された国際会議「ISPlasma2018」で、M1の松下君とD1の李君がポスター発表しました。....続きを読む (2018.April)

炭素材料学会年会(2018年は名工大で実施します)

写真はどこでしょう?シンガポールのマリーナベイホテル?空に浮かぶ船のような構造物は、実は....続きを読む (2017.Dec.)

異種金属接触腐食

ステンレス製のキッチンシンクにスチールの空き缶を放置していると空き缶が錆びます。スチールだから当然だろうと思われるかもしれませんが、....続きを読む (2017.Oct.)

栗本君(M1)ドイツから帰国

昨年の12月からドイツ・ニュルンベルクのFAU大学に留学していたM1の栗本君が無事帰国しました。....続きを読む (2017.Mar.)

分子内包カーボンナノチューブを描くためのソフト

私たちの研究室では、さまざまな分子をカーボンナノチューブの中に挿入(これをencapsulation 「内包」という)しています。おもに内包した分子の電池電極性能を調べています。内包した分子がリチウムイオンを捕まえてくれれば....続きを読む (2017.Jan.)

ロアルド・ホフマン先生のサインとフラーレンポリマー

本学は今年で創設から111周年とのことで、11月1日にいくつかの記念行事を行いました。その行事の一つとしてノーベル化学賞を1981年に受賞されたロアルド・ホフマン教授の記念講演と先生が書かれた演劇「これはあなたのもの」の上演がありました。これらの行事のあとで名工大の関係者十数名がホフマン先生を囲んで懇親会を開催しました。....続きを読む (2016.Nov.)

ヨウ素ナノチューブ反応

多くの方にとってヨウ素デンプン反応はもっとも印象的な化学実験の一つだと思います。デンプンを含む水溶液に茶色のヨウ素液を落とすと青紫色にデンプンが染まるというものです。メカニズムはなかなかに複雑でアミロースのらせん構造が生み出す空間にポリヨウ化物イオンが取り込まれた電荷移動錯体を生成することで発色しています。さて、表題のヨウ素ナノチューブ反応というのは何でしょう?....続きを読む (2016.Sep.)

金色の黒鉛

鉛筆の芯に利用される黒鉛は当たり前(?)ですが黒いです。バンドギャップがゼロのグラフェンが積層して黒鉛は構築されています。3次元に積層することでグラフェンとは少し電子構造が変わって伝導帯にも少し電子はいますがゼロギャップ半導体に近い構造です。ですので可視光をよく吸収し黒い色になります。ところが、どうでしょう右の写真は金色をしていますね。....続きを読む (2016.May)

中化連5件発表

2015年11月7日、8日に三重大学で開催された第46回中部化学関係学協会支部連合秋季大会(通称、中化連)に研究室から5件の発表を行いました。....続きを読む (2015.Dec.)

冷やしナノチューブ、はじめました。

8月も後半となりましたが、名古屋では連日猛暑が続いています。例年以上に暑い今年の夏、私たちの研究室内で最もホットな話題は、ひんやり冷えたワラビもち?、スイカ?、かき氷?...いいえ、「冷やしナノチューブ」です!今年度、本学の大型設備基盤センターに....続きを読む (2015.Aug.)

リチウムイオン電池はこうなっていて、将来はこう変わる

2015/10/7(水)15:30 から名古屋工業大学 大学会館1 階でリチウムイオン電池の講習会を行います。主催は名工大の研究協力会で、講師は名工大の教員(中山将伸先生、園山範之先生、岩田修一先生と川崎、石井の5人)です。現在のリチウムイオン電池の構成部材が....続きを読む(2015.Aug.)

ホームページをリニューアルしました。

旧Webサイトが複雑化してきたので内容を整理しました。
皆様により充実した内容をお届けできるよう、更新を続けます。

高温動作可能なキャパシタ

名古屋大学の日比野先生との研究(150℃でも動作するキャパシタの開発)が日刊工業新聞に掲載されました。(記事のサイト)(2015.Jan.)

マレーシアの大学院生が滞在しています

2015/01/15からマレーシアのUniversity of Technologyの大学院生2人(Muhammad Rashid bin Mahmud君とAhmad Syakirin bin Ismail君)が川崎研に滞在しています。(写真の左から2番目と3番目;2週間程度滞在する予定)私たちの研究室の学生と共同で,カーボンナノチューブのキャラクタリゼーションなどの実験を行っています。(2015.Jan.)

石井陽祐助教が着任しました

2015/01/01付け採用で石井陽祐助教が着任しました。また、昨年10月からインド人のUtkarsh Prakashが研究生としてグループに加わっています。彼は2015.04から修士課程に進学予定です。(2015.Jan.)

Carbon2014 (韓国・済州島)

2014/06/30-07/05 の期間、韓国・済州島で開催されたCarbon2014にM2のSong君、M1の早川君とともに参加してきました(写真にはGolapさんも)。昨年のブラジルをパスしたので久々のCarbonでした。参加者は850人くらいとのことですが、やや細かくセッションが分かれすぎかなという印象です。グラフェンを勉強しようとグラフェンのセッションを重点的に聞いたのですが、何件か重要な講演を聞き逃してしまったのは残念です。....続きを読む(2014.July)

分散剤不要のナノチューブ

単層カーボンナノチューブに非常に簡単にヨウ素をドープする方法を偶然見つけました。ヨウ化物イオンが解けている溶液中でナノチューブに正電位をかけるだけで簡単にチューブの中にヨウ素が取り込まれます。偶然見つけたのであまり威張れませんが、このヨウ素ドープナノチューブは(1)水によく分散する、(2)電気伝導度が中空チューブの約 1.5 桁高くなるといった素晴らしい特徴....続きを読む(2013.Oct.)

ICAC2013 (Osaka)

2013 International Conference on Advanced Capacitors (ICAC2013) が 5/27-30 の期間大阪で開催されました。私の研究室からは2名学生が参加し、カーボンナノチューブのキャパシタ特性について報告しました。そのうちの一人、D3 の Ayar さんが Student Grant を受賞しました。....続きを読む(2013.June.)

メソポーラスシリカの回折強度

メソポーラスシリカはメソ孔が規則正しく配列した多孔質シリカです。本体は非晶質なのですがX線回折実験を行うと、直径のそろったメソ孔が規則正しく配列しているために低角側に回折線が観測されます。いま、配列しているため、と言い切りましたが、よく考えると散乱性能がない空孔が規則配列していても本当に回折が生じるのかなと思うかもしれません。しかし、実際にメソポーラスシリカを合成して実験すると、明瞭に観測されるので、最初抱いた疑問はどこかに忘れてしまいます。回折線の位置から、メソ孔の中心間距離がわかり、窒素吸着で求めたメソ孔径を差し引くとシリカの壁の厚みが計算できます。そんな風に、みんながやっているように解析するのは簡単です。 ....続きを読む(2012.Feb.)

運河の上の太陽電池(インド)

インドのアーメダバードに再生可能エネルギーの国際会議(ICORE2012)を口実にIndraに会いに行きました。IndraはPandit Deendayal Petroleum UniversityのSolar energy school の准教授になっていて、ICORE2012のとりまとめを行っていて私に声をかけてくれたという次第です。初インドで躊躇したものの、今年度から2年間 JSPS-DST の二国間交流を行わなければいけないこともあって参加しました。会議の翌日にIndraの学生に連れて行ってもらったのが canal-top mega-solar system です。タイトルでは運河としましたが、大きなものではなく用水路と言ったほうが適切です。インドは郊外に大きな農地が広がっていますが、そのための農業用水路です。アーメダバードは夏は気温50℃近くにもなる暑いところです。そうすると用水路の水も農地に届く前に干上がってしまうということがあるようです。これを防ぐには用水路にふたをしてやれば良いのですが、このふたとして太陽電池を使おうというものです。私はよく知りませんでしたが太陽電池は温度が高くなると効率が悪くなるそうで、用水路に設置すると温度上昇を抑えられるという利点もあるようです。また、....続きを読む(2012.Dec.)

引っ越しました

おかげさまでここ数年の間に研究室に新しい装置が入り少し手狭になったので私の部屋からは一番遠い廊下の先の実験室の一角を間借りし、電気化学測定装置を3年くらい前にそちらに移しました。その後も順調に装置の数は増えていきましたが何とか間借りしたおかげで形の上では収まっておりました。ところが....続きを読む(2012.Jul.)

若鯱賞と ISPlasma Award

D2 の石井君が2月に若鯱賞を、同じく D2 のAyarさんが3月にISPlasma Awardを受賞しました。私の力不足で賞とは縁のない研究室でしたが、今年は良いことが続きました。とくに Ayar さんの研究はとても面白い結果だと思っていたのですが、なかなか論文を受理してもらえず昨年は非常に悔しい思いをしていました。単層のナノチューブへのイオン吸着をサイクリックボルタモグラムで見ると、ものすごくへんてこな形になるという内容の論文です。もちろん、これまでにたくさんの同様な研究があって誰もそんなへんてこな形のことを言っておりませんから簡単には認めてもらえません。これまでは、電気伝導性の低い炭素材料に一般にみられるバタフライ型との報告が多数です....続きを読む(2012.Apr.)

ACS からの感謝状

毎年、この時期に ACS(米国化学会) から査読に対するお礼状が届きます。クリスマスカードだったころもあったような気もします。査読はかなりの時間を取られながら勿論覆面ですから表だって評価されることもない。それだけを考えると厄介な仕事ですが、こうした人目につかない仕事で科学の世界は支えられている。といったようなことが最初にもらったACS からの手紙に書かれていました..... 続きを読む(2012.Feb.)

宇宙エレベーター

季節の休暇では、2~3日の有給休暇をプラスして普段できない(できるはずだが)読書や他の人にはどうでもよいイベントを考えてともかくやってみる、ということを少なくとも計画はする。今回の冬休みは研究室の棚づくりのための木材と図書を10冊ほど買い込みました。ところが、冬休み前日にひいた風邪をこじらせてお正月も寝たきりになり、棚のほうは図面すらひけず、本は少し回復したお正月後半にやっと数冊流し読みできただけに終わりました。..... 続きを読む(2012.Jan.)

ISIC16

ISIC16(国際層間化合物シンポジウム)に参加してきました。チェコの山奥で5/22-27開催されました。山奥でなくちゃんと地名を書けと怒られそうですが、地名を書いてもものすごく拡大した地図でないと見つけられないところです。最寄の駅はパルドビーチェですが、そこから山の中へ車で1時間弱かかります。昨年のCarbonに続いて会議に缶詰でした。主催者の狙い通りということですが、これはいただけません。会議中にちょっとした息抜きが絶対に必要だと今回確信しました。..... 続きを読む(2011.Jun.)

Materials Express

Materials Expressという雑誌が創刊されます。メインのエディターは名城大学の安藤先生とクマールさんです。数年前に国際MRS学会が名古屋で開催されたときにお2人がナノカーボンのセッションを担当されました。このときプロシーディングスをASPから出したのですが、これが好評だったとのことで、今回雑誌の創刊についてASPからお声がかかったとのことです。MRSのときは、当初私は参加予定ではなかったのですが、直前にプログラムに穴があいたから何か話さないかと安藤先生から誘っていただきました。..... 続きを読む(2011.Mar.)

もみがらも光った!!

籾殻(もみがら)には重量比にして約20%ものシリカ成分が含まれている。「シリカ成分」などと書いたのは植物がシリカそのものを取り込むとは直感的に思えないので少し逃げる余地を残すためである。とはいえ、実際に元素分析を行うとSiは明瞭に観測され、焼成処理を行うとSiO2になっていることは間違いない。高温で処理したものをXRDでみるとクリストバライトが生成することが確認される。もちろん、籾殻は有機物であるから蒸し焼きにするとカーボンがでてくる。つまり、Topic 24 「光るメソポーラスカーボン-シリカ複合体」で紹介したものと同様なカーボン-シリカ複合体ができることになる。これもひょっとしたら光るのではないか。..... 続きを読む(2010.Aug.)

カーボンナノチューブの高圧下の構造

名工大に異動して6年目を迎えております。その間まったくWEBの整理をせず、ただ闇雲に種々雑多なものを詰め込んできました。さすがに、あちこちでスパゲッティ状態で何が何やら訳がわからないので、少し整理をすることにしました。この掃除、簡単には終わりそうにありませんので、醜いですがしばらく更新作業をさらしながら改訂を行っていきます。改訂を行うにあたり、これまで私が行ってきた「カーボンナノチューブの高圧下の構造」の研究をまとめることにしました。これをご覧の方はぜひ、目を通していただければ幸いです(30ページもありますが)。..... 続きを読む(2010.Aug.)

Carbon2010 (Clemson, USA)

炭素材料研究全般を扱うCarbon2010が7/11-16の間、アメリカ・サウスカロライナ州のClemsonという町で開催され、参加してきました。生涯初の Keynote Lecture でしたが何とか無事(?)切り抜けました。この国際会議は、アメリカ、アジア、欧州の3地区の炭素材料学会に相当するSocietyが順番に担当することになっています。昨年はフランス、今年がアメリカ、来年が上海といった順になっています。私はここのところずっと参加しているつもりだったのですが、前回のアメリカ開催のときは何らかの理由でパスしていたようです(これが、痛かった)。..... 続きを読む(2010.Aug.)

光るメソポーラスカーボン-シリカ複合体

規則正しい細孔構造を有するメソポーラスシリカは良く知られた存在でさまざまな分野の研究者が扱い、応用研究も盛んに行われている。このメソポーラスシリカのカーボン版が面白い、と宣伝している。シリカと異なり導電性があるので、表面に機能性官能基を導入して電気化学的に反応を制御・検出することができるのではないか、などと主張している。残念ながら当方はそのような高等な技術を有していないので、現状はこれの電池電極特性を評価していることに留まっている。 メソポーラスカーボンの合成法に関してはこれまでにいくつかの方法が開発されており、それぞれに特徴ある生成物が得られる。写真に示すようにその細孔構造はきわめて規則的である。写真のようなチャネル細孔以外にもいろいろな規則性細孔を有するカーボンを合成できる。このあたりのことは、先日発売された、雑誌「化学」の拙文をお読みいただければ幸いです、と宣伝。そこにも少しだけ記しましたが、この物質を少し処理すると、近紫外励起で明るく白色発光することに最近気がつきました。..... 続きを読む(2010.Mar.)

復活シリーズその1(ラマン)

少し前に古いラマン装置の話を書きました。レーザーも灯り、ラマンもそれなりに確認はできるのですが、やはり、長尺のモノクロで暗く、ちょっと光軸がずれてしまうと全く見えなくなるのと、フォトマルでスキャンしていくのはCCDに慣れてしまった学生たちには少しレトロすぎたかもしれません。決定的なのは紙にしかデータを残せないことで、何とかADコンバータでデータを拾ってみたものの使いやすいとはとても言えない状況でいつしか、全く使われない状態に戻っておりました。..... 続きを読む(2009.Nov.)

アルコールにも溶けるカーボンナノチューブ

これまでに何度か水に溶けるカーボンナノチューブを紹介してきた。これはナノチューブ表面に水酸基を導入したものです。初めのころはうまくいったり、いかなかったりしていましたが、最近は再現性よく修飾が可能になったようです(学生たちに感謝)。ところが少し前に、これを見た人からアルコールには溶けるのかと質問を受けました。残念ながら水酸基を導入しただけではアルコールには溶けません(図の右上の写真)。..... 続きを読む(2009.Aug.)

Good-bye, Indra!

Dr. Mukhopadhyay Indrajit from India, who has been in our Lab. for 7 months since last Nov., leaved Japan on 15 Jun. I would like to express my sincere thanks to him for his contribution to my Lab. He gave us a lot of things, e.g. new materials which we had not handled, new experimental techniques which we did not know, etc. He also showed his ceaseless effort for his science. It encourages all the students, I believe...... click here to read more(2009.Jan.)

さてどうする、充放電装置

3月に退官された池田章一郎先生から北斗電工の6チャンネル充放電装置を譲り受けました。1月ほど前からお話は伺っていて、前任地で使用していたものなのでおおよその大きさは理解しているつもりでした。しかし、うかつなことに制御用のパソコンのことは全く頭になく届いたPC9801とそのディスプレイ、ラックの大きさに慌てました。とてもこのままでは実験室に収まらない、そんなことが頭に浮かびました。.... 続きを読む(2009.Apl.)

ダイヤモンドの回折線

11/28-30 つくば・高エネ研でダイヤモンドアンビルセル(DAC)を使った高圧実験を行いました。写真はピーポッドの高圧下の状態をイメージングプレートで取ったものです。赤色の×印がダイレクトビームの位置です。この点を中心に同心円のデバイシェラーリングが観測されるはずです。ところが実際に撮影したものにはなにやらあらぬところに中心をもつリングが見えています。..... 続きを読む(2008.Dec.)

IWAC03(フランス・リモージュ)

11/6-7 フランスのリモージュで開催されたIWAC03(the 3rd International Workshop on Advanced Ceramics)に参加しました。リモージュ焼で有名な街の郊外にヨーロッパのセラミックス研究の拠点研究所がまさに建設されている、すぐ横のリモージュ大学の施設で会議は開催されました。名工大も瀬戸、多治見に近くセラミックスの研究が盛んであることから両大学の間で数年前に提携が結ばれています。そのようなことから、私は主に両大学関係者の小規模のワークショップを想像して出かけたのですが、ヨーロッパ各国からの参加者が多数あり驚きました。初日の朝の早い時間での講演でしたので、ゆっくりと会議を楽しむことができました。..... 続きを読む(2008.Dec.)

巨大化する真空ライン

研究室の装置(7)で紹介していた真空乾燥ライン+真空封管ライン+窒素ガス反応ライン+超高温炉...まさに屋上屋を重ねたラインが先週更新されました。2つのラインに6つの電気炉が乗っていたのですが、さらに大き目の電気炉を2台増設しなければいけなくなりました。何とか旧いまま増設をするか、解体して新しくするか、学生の間で意見が分かれたようですが(この間私は見て見ぬふり)、元気のある新人が新ラインの構築を提唱して皆も納得。作業スペースも格段に広くなり、ラインの安定性も増し素晴らしいできばえだと思います。 .... 続きを読む(2008.Jul.)

イメージングプレートをはじめて見た

5月末につくば高エネ研のPFに実験に行ってきました。ビームラインBL-18Cでダイヤモンドアンビルセルを使った高圧下X線回折実験です。物質・材料研究機構の中野智志さんに手ほどきをうけて初めてこのビームラインで実験を行いました。中野さんの大変親切かつご丁寧なご指導のおかげで、大きなトラブルもなくマシンタイムを終えることができました。データ解析はまだですが、新しいビームラインを利用できるようになったことが大きな収穫です。新しい実験装置を利用すると、とても勉強になります。今回もいろんなことを学び、発見しました。イメージングプレートをはじめて見ることもできました。 ..... 続きを読む(2008.Jun.)

水溶性ナノチューブのその後

最近の研究から vol.9 でお伝えした水溶性ナノチューブのその後です。水溶性ナノチューブらしきものができたが、本当にナノチューブの構造を保っているのか、率直なところ、私もかなり不安でした。溶液は写真でご覧いただけるように完璧に透明です。ナノチューブを界面活性剤で分散させた溶液を何度も見ていますが、いかにもナノチューブを無理やり分散させているのがすぐわかります。それに対して、写真のものは完璧に透明です。 ..... 続きを読む(2008.Mar.)

世界で一番安いカーボンナノチューブ製造装置

カーボンナノチューブの合成方法は大きくわけて3通りある。レーザー蒸発法、アーク放電法、CVD合成法である。いずれも大掛かりな装置を必要とする。当然装置も高くなる。なかなか簡単に「ナノチューブでも合成してやろうか」、ということにならない。それを数千円で済ませようというのが写真の装置である。かっこよく書くとメタノール蒸気の熱分解CVD装置ということになります。 ..... 続きを読む(2007.Dec.)

20年前のラマン装置に灯がともる

写真はお隣の研究室から廃棄された1987年製のラマン分光装置(JASCO NR-1100)の顕微部である。 20年前というとちょうど私がM1でZrO2のラマンスペクトルを大阪府立大ではじめて観察したときになる。 当時私が使った装置は防振台の上にレンズやプリズムが並べられたものであったが、当時としては おそらく標準的かあるいは少し高級なラマン装置ではなかったかと思う。それとくらべると写真の 装置はものすごく豪華である。この顕微部には写真のようにCCDカメラがつき、マクロ測定室が別に あり、2Wのアルゴンガスレーザにダブルモノクロがついている。残念ながら今は動かないが、CCD検出器 まで付いている。まさに驚くべき仕様である。ただし、「20年前の装置としては」と但し書きがいる。 ..... 続きを読む(2007.Nov.)

間違っていない

今朝(2007.08.17)メールチェックするとフランスのDr. Pascale LAUNOISからメールが 来ていて論文が2つ添付されていた。最近の研究から vol.2 で紹介したピーポッドの中でC60が重合するという私たちの論文を参照してくれた仕事が もうすぐ印刷されるとの宣伝のようです。(M. Chorro et al. and V. Pichot et al., Europhysics Lett. in September) 最初は参照してくれてありがとう、という感じで読み始めたのですが、図のようなところが 出てきてびっくりです。..... 続きを読む(2007.Aug.)

He は最強の圧力媒体か

ダイヤモンドアンビルセルは上下2つのダイヤモンドを対抗させ、先のとがった部分で試料を挟み込んで加圧します。裸のまま試料を押してしまうと、どんどん横へ試料が逃げてしまいますし、中心部とその周囲ではかなり大きな圧力勾配ができてしまいます。また、上下2つのダイヤモンドで加圧することになるので1軸圧になってしまいます。これらの問題を解決してくれたのがガスケット法です。..... 続きを読む(2007.Aug.)

ISIC14

韓国で開催された国際層間化合物会議(ISIC: International Symposium on Intercalation Compounds)にM2の岩井君(写真)とともに参加しました。当研究室からは2件の発表(カーボンナノチューブとアルカリ金属化合物の構造に関するものと、2層カーボンナノチューブ、フッ素化2層カーボンナノチューブの高圧下の構造に関するもの)を行いました。..... 続きを読む(2007.Jul.)

水溶性単層カーボンナノチューブ

フラーレンとナノチューブの決定的な違いは、前者がトルエンなどの有機溶媒に溶け有機化学反応実験が比較的容易に行えるのに対し、後者はほとんどの溶媒に不溶であることです。ナノチューブを高濃度の過酸化水素でぐつぐつやると完全になくなってしまいますが、ナノチューブの形のまま溶かさないと意味はありません。..... 続きを読む(2007.Apr.)

「構造無機化学I, II, III」(共立全書)

学生時代に「この物質の構造がわからない」、と助手の先生に尋ねたときに教えられた本。以来なにか構造でわからなくなるとまずこの本を頼りにしました。わたしにとっては魔法のような存在でした。大学を転々としましたが、幸いどこの大学の図書館にもこの本はありました。ただこれだけ便利な本だとどうしても手元に置いておきたくなります。..... 続きを読む(2007.Apr.)

ロケット鉛筆型ナノチューブ

炭素は実に面白い元素でさまざまな「固体炭素」を生み出します。「固体炭素」にはダイヤモンド、グラファイト、フラーレン、ナノチューブ、アモルファスカーボン、カーボンファイバー、ダイヤモンドライクカーボン....と実にいろいろあります。それぞれ炭素原子のつながりが異なるわけですが、ややこしいことに1つの名前で呼ばれているものでも必ずしも同じ構造ではありません。特に問題なのがナノチューブです。..... 続きを読む(2006.Dec.)

ガウシアン(Gaussian 03)でナノチューブの計算をする

ガウシアンは分子(あるいはクラスター)の計算を行うもの、と勝手に認識していました。ところが、(Gaussian03からだと思いますが)周期境界条件(Periodic Boundary Conditions, Gaussian03でのキーワードはPBC)が入った計算ができるようになっていることを教わりました。 例えば、
%chk=graphite2.chk
# opt lsda/3-21g

Title Card Required

0 1
C 0.00000000 0.00000000 0.00000000
C 0.00000000 1.42911800 0.00000000
Tv 2.47531500 0.00000000 0.00000000
Tv -1.21995200 2.13344700 0.00000000

というような入力ファイルを用意すると、グラファイトの1層(グラフェンシート)の計算が可能です。..... 続きを読む(2006.Oct.)

ひたすら安価を目指した電気化学測定システムの2号機

カーボンナノチューブなどのナノ炭素材料のリチウムイオン二次電池電極特性の研究を行っています。キャパシタ用電極としての評価も始めようとしています。当然、定電流充放電曲線やサイクリックボルタモグラムの測定を行わなければなりません。悲しいかな、研究予算は大きく獲得できません。そこで、手作りのシステム構築となります。..... 続きを読む(2006.Aug.)

超高圧処理したナノチューブは硬くなる?

実は、C60分子はものすごく硬い。その体積弾性率は800 GPa 以上と計算され、なんとダイヤモンドの約2倍である。ナノチューブも軸方向の力にはめっぽう強い。この方向のヤング率は直径によって異なるが、おおよそテラパスカルオーダーである。これは、両者がともにsp2結合で構築されていることによる。ダイヤモンドのsp3結合より、ずっと硬い結合なのである。 しかし、残念なことに、バルク試料はいずれも、この硬い分子をファンデルワールスのゆるゆるの力で組み上げたものなので、ものすごく柔らかい。それでは、分子間に共有結合を導入すればいいのでは、と考える。これは実は、C60については多くの人(ロシアに偏っている気がするが)が行った。中には、ウルトラハード相といって、ダイヤモンドとスクラッチテストをしたら、ダイヤの方に傷がついた(すなわちダイヤより硬い!)との報告まである。..... 続きを読む(2006.Jun.)

天然鉱物の上にどうやってナノチューブができる?

「最近の研究から vol.1」で紹介したように、天然鉱物上でメタンガスの熱分解を行うときれいな単層カーボンナノチューブができるものがある。これまでに15種類くらいの鉱物を標本店から購入して試したところ、マグネサイトやブルーサイトできれいなナノチューブができることを確認した。そうなると気になるのはどうやってできたのか、ということです。 メタンガスの熱分解でマグネサイト上にナノチューブが生成する過程をX線吸収端微細構造(XAFS)で追いかけてみました。..... 続きを読む(2006.Apr.)

ナノチューブの中でC60がつながった!!

フラーレンC60とカーボンナノチューブの”結婚”により誕生したピーポッド(さやえんどう)。 これに超高圧をかけるとチューブの中でC60分子が重合していることを示すデータをSPring8の放射光を使って観測することに成功しました。

だから何?、と聞かれるのはちょっと困る。..... 続きを読む(2006.Mar.)

天然鉱物からカーボンナノチューブができた!!

天然鉱物をメタンガスの熱分解CVDラインに設置してCVDを行ったところ、magnesite で単層カーボンナノチューブが大量に生成することが確認された。..... 続きを読む(2006.Jan.)