ナノスペースカーボンの科学と工学、極限環境の電気化学

名古屋工業大学 川崎・石井研究室

「最近の研究から」Vol. 37

分散剤不要のナノチューブ

単層カーボンナノチューブに非常に簡単にヨウ素をドープする方法を偶然見つけました。ヨウ化物イオンが解けている溶液中でナノチューブに正電位をかけるだけで簡単にチューブの中にヨウ素が取り込まれます。偶然見つけたのであまり威張れませんが、このヨウ素ドープナノチューブは(1)水によく分散する、(2)電気伝導度が中空チューブの約 1.5 桁高くなるといった素晴らしい特徴を持っています。なお、水への分散性は低温のほうが良く、高温にすると凝集することが確認できます。このあたりのことはPCCPに投稿した論文に詳しく書いています。

さて、(1)水によく分散する、(2)電気伝導度が中空チューブの約 1.5 桁高くなる、という2つの特徴を何に利用したらよいか?写真はこのヨウ素ドープナノチューブをガラス基板上にスプレーコートで塗膜したものです。よく分散させないと透過度が下がるが、分散させると電気伝導度が下がるといった問題をヨウ素ドープナノチューブが解決してくれる、、、といいな。