ナノスペースカーボンの科学と工学、極限環境の電気化学

名古屋工業大学 川崎・石井研究室

「最近の研究から」Vol. 49

異種金属接触腐食

ステンレス製のキッチンシンクにスチールの空き缶を放置していると空き缶が錆びます。スチールだから当然だろうと思われるかもしれませんが、ステンレスの上に置くことで錆びる速度が大きくなります。写真は某大学の某研究室の流し台の上水管です((注)下水管ではありません、何か変なものを流したということではありません)。水道の水が茶色く濁るということが何度か起こり、流し台の下を確認したら写真のような状態だったということです。蛇腹の管はおそらくステンレスでピカピカですがエル(L)字の継手は腐食しているように見えます。

この図は私が中部電食防止委員会の講習会で使用しているスライドですが、腐食しやすい金属を腐食しにくい金属の上に置くと腐食速度が変わることを示しています。面積100のステンレスの板に面積1の鉄くぎを打つとおよそ100倍の速度で腐食が進むことがわかります。最初に書いた、流し台においた空き缶の腐食もこれで説明できます。

この図も同じ講習会で使用するものですが、異種金属接触腐食が起こりやすい事例としてステンレス管で立ち上げた水道管をスチール継手で接続する例を紹介しています。講習会で紹介しているのと同じ(?)ケースを間近で見ることになるとは思っていなかったので少々驚きました。

(Oct. 2017., S. K.)