ナノスペースカーボンの科学と工学、極限環境の電気化学

名古屋工業大学 川崎・石井研究室

「最近の研究から」Vol. 9

水溶性単層カーボンナノチューブ

フラーレンとナノチューブの決定的な違いは、前者がトルエンなどの有機溶媒に溶け有機化学反応実験が比較的容易に行えるのに対し、後者はほとんどの溶媒に不溶であることです。ナノチューブを高濃度の過酸化水素でぐつぐつやると完全になくなってしまいますが、ナノチューブの形のまま溶かさないと意味はありません。

豊田工大の大野先生のグループが単層カーボンナノチューブの水溶化についてご報告されています。これを参考に当研究室でも水溶性単層カーボンナノチューブを作ってみました。

写真でおわかりになるように単に強力超音波で分散させただけのものと異なり、均質な溶液です。おそらく、大野先生の実験を再現できたものと思っていますが、まだ、この溶けているものがナノチューブであるという実験的な証拠は得ていません。

ナノチューブであることが確認できたら、いろんなことをこの水溶性単層カーボンナノチューブを使ってやってみたいと考えています。