ナノスペースカーボンの科学と工学、極限環境の電気化学

名古屋工業大学 川崎・石井研究室

「最近の研究から」Vol. 27

もみがらも光った!!

籾殻(もみがら)には重量比にして約 20 %ものシリカ成分が含まれている。「シリカ成分」などと書いたのは植物がシリカそのものを取り込むとは直感的に思えないので少し逃げる余地を残すためである。とはいえ、実際に元素分析を行うとSiは明瞭に観測され、焼成処理を行うとSiO2になっていることは間違いない。高温で処理したものをXRDでみるとクリストバライトが生成することが確認される。もちろん、籾殻は有機物であるから蒸し焼きにするとカーボンがでてくる。つまり、topic 24 「光るメソポーラスカーボン-シリカ複合体」で紹介したものと同様なカーボン-シリカ複合体ができることになる。

これもひょっとしたら光るのではないか。昨年、当研究室で卒研をやっていた水谷君にそんな話を持ちかけたのは、そろそろ卒研に何か見通しがないと辛くなる秋口でした。籾殻にシリカが大量に含まれていることを私が学会で聞いてきて水谷君に話をすると、たまたま水谷君のおじいさんがお米を作っていることがわかり早速籾殻を送ってもらうことになりました。

窒素中で焼成すると真っ黒になり、炭化処理されたことがわかります。ついで、これを空気中酸化して、紫外線をあててみるとメソポーラスカーボン-シリカ複合体にくらべると輝度はだいぶ劣りますが、白色発光することが確認されました。水谷君と水谷君のおじいさんに感謝、感謝です。(なお、この研究は現在JFCC・石川先生と共同で進めています。)