ナノスペースカーボンの科学と工学、極限環境の電気化学

名古屋工業大学 川崎・石井研究室

「最近の研究から」Vol. 47

分子内包カーボンナノチューブを描くためのソフト

私たちの研究室では、さまざまな分子をカーボンナノチューブの中に挿入(これをencapsulation 「内包」という)しています。おもに内包した分子の電池電極性能を調べています。内包した分子がリチウムイオンを捕まえてくれればリチウムイオン電池電極として利用できます。同じようにしてナトリウムイオンを捕まえてくれれば、ポストリチウムイオン電池として期待されるナトリウムイオン電池の電極候補となります。マグネシウムイオンを捕まえることができれば多価イオン電池へ展開できます。なぜ、内包させるのかというと、いろいろな理由があります。

有機分子の多くは電池の電解液に溶けてしまうために電極材料として利用できません。しかし、ナノチューブに内包させることでこの溶解を防ぐことができれば、電極材料として魅力的なものがたくさんあります。また、ナノチューブは電子移動パスとして理想的ですから、電子伝導に難のある材料も内包させることで利用できるようになります。つまり、内包により電極活物質探索の対象が格段に大きくなります。

さて、内包系電極の発表の際にうまく内包系ナノチューブの絵が描けないなというのがちょっとした悩みでした。この悩み解消とボケ防止のために内包ナノチューブを描画するためのソフトを作りました。

詳細は別ページにまとめましたので、そちらをご覧ください。分子内包ナノチューブを描くためのものだったのですが、多層カーボンナノチューブや外部修飾ナノチューブも描くことができます。ご笑覧ください。(S.K.)

(Jan. 2017.)