ナノスペースカーボンの科学と工学、極限環境の電気化学

名古屋工業大学 川崎・石井研究室

「最近の研究から」Vol. 16

イメージングプレートをはじめて見た

5月末につくば高エネ研のPFに実験に行ってきました。ビームラインBL-18Cでダイヤモンドアンビルセルを使った高圧下X線回折実験です。物質・材料研究機構の中野智志さんに手ほどきをうけて初めてこのビームラインで実験を行いました。中野さんの大変親切かつご丁寧なご指導のおかげで、大きなトラブルもなくマシンタイムを終えることができました。データ解析はまだですが、新しいビームラインを利用できるようになったことが大きな収穫です。新しい実験装置を利用すると、とても勉強になります。今回もいろんなことを学び、発見しました。イメージングプレートをはじめて見ることもできました。

イメージングプレートはダイヤモンドアンビルセルのような微小試料と放射光の組み合わせでS/N比の高いデータを取るには最適の検出器です。イメージングプレートの存在は学生のころから知っていますし、実はすでにSPring8でイメージングプレートを利用した実験も行っています。しかし、そのときは読み取り機、イレーザーも1体の装置を使ったので実際にプレート自体を目にすることはありませんでした。

今回の装置はフィルム立てに自分でプレートを入れ、回折実験を行った後、これを取り出して別室のスキャナーに読み込ませ、その後また、別のイレーザーで消去と各々の手順を自身で行うようになっていました。片面が白(照射面)で裏面が黒で見た目は貼り付けタイプのホワイトボードという感じ。実際に触ってみても、ただのゴムマット。共同利用のものであることもあってか端っこのほうはなにやら傷が2箇所。この傷がフィルム立てから取り出す際の爪あとであることは1回目にセットしたときにすぐに気がつきました。こんなので大丈夫かなと心配になったのですが、解析技術はものすごく進んでいて、フィルムのティルトやピクセルの縦横比のゆがみなんかも評価できました。フィルムには種類があって、高精度のものもあるとのことだが、これはどういう仕掛けなのだろうか少し気になる(感度を落とすということなのでしょうね、おそらく)。

これを書いていて、学生時代にはじめて振動写真をとったときに、暗室で手探りでフィルムをセットし、鼻を突く匂いのなかで現像したことを思い出しました。