ナノスペースカーボンの科学と工学、極限環境の電気化学

名古屋工業大学 川崎・石井研究室

「最近の研究から」Vol. 13

20年前のラマン装置に灯がともる

写真はお隣の研究室から廃棄された1987年製のラマン分光装置(JASCO NR-1100)の顕微部である。 20年前というとちょうど私がM1でZrO2のラマンスペクトルを大阪府立大ではじめて観察したときになる。 当時私が使った装置は防振台の上にレンズやプリズムが並べられたものであったが、当時としては おそらく標準的かあるいは少し高級なラマン装置ではなかったかと思う。それとくらべると写真の 装置はものすごく豪華である。この顕微部には写真のようにCCDカメラがつき、マクロ測定室が別に あり、2Wのアルゴンガスレーザにダブルモノクロがついている。残念ながら今は動かないが、CCD検出器 まで付いている。まさに驚くべき仕様である。ただし、「20年前の装置としては」と但し書きがいる。

それでも廃棄はもったいないと譲り受けて、約2年間保管し続けました。建物改修後、移転が 決まっていたので移転後動かそうと決めていました。ようやく今月移転後、再組み立てを行い ました。部品がいくつか欠けていたのですが、何とか取り寄せ、レーザーも無事点灯し、測定 可能であることがわかりました。

ただ、当時としては仕方なかったのでしょうが、駆動関係は専用のマイコン制御になっていて データはプロッタに書き込めるだけです。せめてPC9800などであれば、制御部の更新が可能 だと思うのですが、日本分光に問い合わせてもこの機種では変更は不可だとの答え。あきらめが 悪く装置をいろいろ調べていくと、フォトマルからのDC出力があるのを発見しました。写真の 赤黒のケーブルを差しているところです。

このDC出力をパソコンのADボードまで引っ張り込み、Windowsにデータ取り込みをしたのが図です。 一応なんとか取れそうかなという感じです。問題はデータ取り込みのトリガーがないので、本体側 の動きをみて手動というところ。それでも慣れれば1cm^-1まではずれないだろうと思います。