ナノスペースカーボンの科学と工学、極限環境の電気化学

名古屋工業大学 川崎・石井研究室

「最近の研究から」Vol. 1

天然鉱物からカーボンナノチューブができた!!

天然鉱物をメタンガスの熱分解CVDラインに設置してCVDを行ったところ、magnesite (写真左上)で単層カーボンナノチューブ(写真)が大量に生成することが確認された。日経ナノサイエンスの記事。

メタンガスはいわゆる天然ガスの主成分であり、地球上に広く分布している。つまり、今回の実験結果はちょっとした熱源があれば、自然界でも単層カーボンナノチューブが生成する可能性があることを示している。投稿した論文の結文を次のように書いた。
It is the authors' belief that natural SWNTs will eventually be found. (Carbon, 44, 2139-2141, (2006))

(筆者注:ナノチューブの仲間であるフラーレンC60は天然に存在することがわかっている。フラーレンはベンゼンなどを蒸し焼きにしてできる「すす」の中にも含まれるから、容易に自然界で生成することが理解できる。これに対して、単層カーボンナノチューブの合成というのはきわめて artificial な要素が多いことから天然に存在すると考えている研究者は多くはないと思う。また、仮に存在していても分析が容易ではないであろう。しかしながら、、、)