研究室ガイド(2017年度版)
■はじめに
このページは来年度(2017年4月~)、当研究室への分属を考えている名工大生の参考のために書きました。
■研究内容
当研究室ではフラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンに代表されるナノカーボンを機能化し、リチウムイオン二次電池負極、 電気化学キャパシタ電極などエネルギーデバイスへの応用を主に目指しています。
「主に」と書いたのは、研究の幅が徐々に広がってきたためです。 最近は、ガスクロマトグラフやソーラーシミュレータ(太陽光を再現する高性能ライト)等の大型装置も導入し、 光エネルギーを使った水素発生や二酸化炭素の再資源化等の新たなテーマへの挑戦も始めています。 また、我々の研究室が蓄積してきたナノカーボン材料に対する技術・知見を応用し、電気化学のフロンティア領域を開拓したいと考えています。 南極・北極、深海、宇宙などの極限環境でも動作可能な先端蓄電デバイスを実現するため、超高圧環境下や極低温環境下でも電気化学測定が可能な独自装置の開発を秘密裡に進めてきました。 このような極限環境の電気化学は先行研究がほとんど行われていない未開領域ですので、うまくいけば第一人者として教科書に載るような独自性の高い研究に発展する可能性を秘めています。 高圧実験の装置はまもなく完成し、2017年4月から本格的な研究をスタートする予定です。
こうした研究は必ずしもすべて狙い通りというわけにはもちろんいかないのですが、少しずつですが目指している方向に研究が進展しつつあると感じています。 いろいろなところからお声をかけていただき、さまざまな分野の先生方、企業と共同研究をさせていただいています。中部地区の企業数社と共同研究を行っています。 アカデミアは名大、JFCC、ドイツ、インド、マレーシアなどと共同研究しています。
国際会議出席や国際誌掲載など、国際的な成果発表の機会が確実に増えてきています。今年はM2の学生2名が海外で口頭発表しました。 さらに今年はナノ材料の国際会議が京都であり、D1の学生1名が英語でポスター発表しました。研究室の学生たちの弛まぬ努力のおかげで、アメリカ化学会(ACS)やイギリス化学会(RSC) などの有力な学術誌に掲載される論文も着実に増えてきています。
詳しい話は見学に来てくれた人にもれなくお聞かせします。皆さんの力で私たちの研究室の研究をぜひ加速させてください。
■現在の卒論テーマ
- 光エネルギーで充電可能な新型蓄電池の開発
- 有機分子修飾カーボンナノチューブの低温電池電極特性
- ヘテロ原子をドープしたナノカーボンの合成と酸素還元電極特性
- 分子内包によるカーボンナノチューブの電子状態制御と電極触媒への応用
■研究室の仲間
2017年度はおそらく下記のようになります。教授1名、助教1名、D2 1名、M2 5名、M1 6名です。中国からの留学生がいます。8月末までインド人のポスドクが滞在します。
■研究室での生活
川崎グループは大きくは応用無機化学分野に属します。学生居室(19-420)は柳生グループの学生とシェアしています。最近は人数が増えてきて学生居室1部屋だけでは収まらなくなってきたので、 一部の学生は石井の居室(19-402)で暮らしています。(3か月に1回くじ引きによる席替えが行われます。) コアタイムは設けておりません。自主性を重んじ、やるべきことを計画的に集中して行うことを奨励しています。(この辺はずっと同じ。)
週に二度、セミナー(研究報告と論文紹介とタイトルサービス)があります。卒研生は英語の教科書の輪読を週に1度行います。これとは別に、 不定期にグループ内で研究状況について報告してもらいます(報告といっても、かしこまって何かやるというわけではなく、どんな風に研究を進めていったらよいかということについて グループのみんなの意見を出し合うことをやっています)。また、不定期に勉強会(炭素材料科学、X線回折、ラマン散乱)を開催します。 今年は固体NMR勉強会を行いました。これは週に1-2度くらいのペースで集中してやります。
週に2回、有志で昼休みにテニスをやっています(川崎にコーチするすことが求められます)。練習後はちょっとましなフレンチやイタリアンにも行くこともありますが、 基本はサイゼリアです。夏以降はDG杯に向けてソフトボールの練習をします。DG杯は研究室でもっとも大事なスポーツ行事と位置付けていますが、今年も惨敗でした。。。
飲み会は公式には年4回(花見、院試激励・お疲れ、忘年会、歓送迎会)ですが、これだけは学生は自主開催を多数やっているようです。 9月頃にゼミ旅行に行きます。今年は彦根に行ってバーベキューをしました。飲み会とゼミ旅行は柳生研と共同で開催しています。
■卒論テーマ
上の研究内容と強く関係します。また、卒業研究は1年をかけて行われます。その間、実験結果について何度もグループ内で議論し方向性を皆さんとともに検討しますので、 当初のテーマと大きく研究内容が変わってしまう場合もあります。研究内容で書いたように、新しいテーマの開拓も積極的に進めています(これらのテーマを進めてくれる意欲的な学生を期待しています)。 とりあえず、下記のようなテーマを考えています。
- 超高圧環境下でも動作可能な新型蓄電池の開発
- 極低温環境下でも動作可能な新型蓄電池の開発
- 二酸化炭素を再資源化するためのナノカーボン電極触媒の開発
- 電気化学反応を利用した新規ナノカーボン合成法の開発
- 水質浄化のための新規ナノカーボン電極の開発
なお現在、当研究グループのメインの学会は炭素材料学会(秋開催)、電気化学会(年2回、春、秋開催)、フラーレン・ナノチューブ総合シンポジウム(年2回、冬、夏開催)です。不定期に、 日本MRS、セラミックス協会年会、化学会年会に参加します。
国際会議は、Carbon(毎年)、ISIC(2年に1度)を中心に参加していますが、最近はナノカーボン関係の国際会議が頻繁に開かれるので、そちらにも適当に参加しています。 2016年は国内(大津、京都)で開催された国際会議で成果発表しました。また、学生の海外での発表も奨励しています。M2の学生2名がハワイで発表してきました。
最近、ドイツのエアランゲン大学(FAU)との交流を開始しました。現在、FAUのHeiss先生の研究室にM1の学生が1名留学しています。(2016年12月~2017年2月末) さらに、2017年夏には別の院生が1人留学予定です。積極的な学生については国際的な場で活躍する機会を提供できるよう、できる限りサポートいたします。
■約束ごと(本当はたった一つ「他人に迷惑をかけない」)
- 研究を楽しめること。(これがもっとも大事)
- 研究室の雰囲気を悪くしないこと。
- 研究室をきれいにすること(整理整頓)。
- セミナーの時間を守ること。