地球温暖化の要因の一つと考えられる二酸化炭素を分解・固定化する研究が活発に行われている。当研究室でもカーボンナノチューブなどのナノカーボンを利用した太陽光二酸化炭素還元光触媒の開発を行っている。この研究を行うためには太陽光照射を再現するためのソーラーシミュレーターと二酸化炭素の分解生成物を検出するガスクロが必要である(図1)。
図1 当研究室保有の光触媒性能評価装置。
図1に示すようにガスクロは2つ連結したものを使用している。これは1段目のガスクロで二酸化炭素還元の競合反応である水素還元などの生成物を検出したのち、メタナイザーと呼ばれるアタッチメントを取り付けた2段目のガスクロで一酸化炭素など二酸化炭素還元生成物を検出する。
図2 光触媒性能向上のための電荷分離をナノカーボンで促進する。
私たちの研究室では光触媒性能が向上するように太陽光照射で励起された電子が再結合で失活しないようにナノカーボンを利用している。光励起した電子が図2のようにナノカーボンに移動することで再結合が抑制される。また、適切な金属助触媒と組み合わせることで還元生成物の選択性制御も行っている。このような工夫により単体g-C3N4にくらべてナノカーボンなどと複合化した場合にはメタン生成能が約20倍向上することが確認できた。
(謝辞:本研究の一部は公益財団法人JKAの助成を受けて実施しました。)