単層カーボンナノチューブ（SWCNT）はレーザー蒸発法、アーク放電法、CVD法などさまざまな方法で合成することができる（図1）。しかし、どのような方法で合成しても１種類のSWCNTだけを合成することはできない。さまざまな直径・電子状態のSWCNTの混合物が合成される。

図1　当研究室保有のレーザー蒸発法を利用するSWCNT合成装置。

　上記したようにSWCNTの選択合成は残念ながら現在でも困難であるが、近年SWCNTの分離手法が急速に進歩した。密度勾配超遠心法やゲルカラムクロマトグラフ法がよく利用されている。私の研究室ではこの２つの方法により金属型SWCNTと半導体SWCNTに分離し、さまざまな応用研究を行っている。

図2　ゲルカラムクロマトグラフ法で分離した金属型・半導体型SWCNT。

図3　分離した金属型SWCNTのフッ素化処理。

　光触媒応用研究では分離した金属型SWCNTをフッ素処理することで光触媒担体としての性能向上を目指している。Ni管に入れた金属型SWCNTとMnF₃粉末試料をガラス管に真空封入したのち加熱処理してフッ素化を行った（図3）。SEMに付属したEDSによりフッ素化を確認した。

（謝辞：本研究の一部は公益財団法人JKAの助成を受けて実施しました。）