圧力は温度とともに熱力学における最も重要な重要パラメータです。しかしながら圧力の変更は実験技術的に難しく、特に高圧力下における物理・化学反応についてはまだまだ多くのことが分かっていません。当研究室では電気化学反応におよぼす圧力の影響を解明することを目的として、Fig. 1のような装置を開発し、研究に取り組んでいます。
Fig.1 当研究室で開発した高圧力電気化学実験装置
水の電気分解は中学生にも良く知られた基礎的な電気化学反応ですが、最近では水素をクリーンに合成するための手法としても注目されている技術です。
当研究室の最近の研究により、水の電気分解反応は圧力の上昇とともに起こりやすくなることが明らかとなってきました(Fig. 2)。
高圧力下で水の電気分解をおこなうと、電極表面への気泡の付着が抑制されます。これを利用すれば、無重力環境でも長期間・安定的に水の電気分解を進められるようになり、将来的には宇宙開発にも役立てられると考えています。
Fig.2 0.1 mol/L水酸化カリウム水溶液中で測定した白金電極のサイクリックボルタモグラム。酸素発生・水素発生ともに、圧力が高くなるほど電流値が向上していることが読み取れる。
(謝辞:本研究の一部は公益財団法人JKAの助成を受けて実施しました。)