電気分解を長期間安定に行うためには耐久性の高い電極の使用が不可欠です。単層カーボンナノチューブは高い化学的安定性をもっており、電気伝導性・物理強度も優れていることから次世代の電極材料として有望な材料です。
SWCNTは、化学気相成長法(CVD)、アーク放電法、レーザーアブレーションなど様々な手法で合成することができますが、特にレーザーアブレーション法は、欠陥の少ない高品質な合成を行うのに適した方法です。
Fig.1 当研究室で製作したSWCNT合成装置
Movie 1 レーザーアブレーション法を用いたSWCNT合成の様子
Fig. 1は当研究室で製作したレーザーアブレーション合成装置です。動画(Movie 1)に示すように、CoやNiを含む黒鉛ブロックに高出力赤外線レーザーを照射すると、SWCNTが生成します。この合成の回収物にはSWCNT以外の金属や炭素粉末が不純物として混入してしまいますが、このような不純物は塩酸や過酸化水素水で処理することで除去することができます。Fig. 2は精製処理後のSWCNTを電子顕微鏡写真です。ナノ繊維状のSWCNTがしっかりと確認できます。
Fig.2 精製処理後のSWCNTの電子顕微鏡写真
(謝辞:本研究の一部は公益財団法人JKAの助成を受けて実施しました。)